「Alice」おぼえがき



ルイス・キャロルの生み出した
「不思議の国のアリス」という小説が気になります。
謎めいた登場人物、通らない道理、
途方に暮れる状況の連続で、
読んでいて非常に想像力を刺激されます。
印象的な場面はついつい
自分でも絵に描いてみたくなるのです。

----- 藁帖 -----
アニー岡本氏の企画・編集した
「少女」をテーマとする雑誌『藁帖』に寄稿するために描きました。
B6の用紙を横に並べて綴じた、細長い版型だったので、その独特のフレームを生かした、ダイナミックな構図をめざしました。
当初は縦開きの本となる予定だったので、縦長のイラストを主体に考えていました。
本に収録したものは、この絵をトリミングして、ものすごく線数の粗い網点に変換し、数十年前の新聞印刷のような仕上りになっており、掲載したものとは全然印象が違います。本来は、その古新聞的効果を意図して原画を描いたので、ここに掲載しているものはあくまで素材というか、途中段階です。
画材はモノクロームのアクリルガッシュを使っています。

----- 豆絵本 -----
一秒書房の豆絵本、
Alice in a Miniaturebook」の原画は、「不思議の国のアリス」の印象的な場面を章ごとに抜き出し、若干のアレンジを加えてノートに描き殴った鉛筆画です。
これをA3サイズにコピーしたものを、アニーおかもとさんが得意の色鉛筆で
一気呵成に塗ってくれたのですが、その塗りっぷりのあまりの美しさに驚いて、どうせなら続編の「鏡の国のアリス」も塗ってもらおうと言う魂胆で続きを描きました。
(その後、これがどのような過程で豆絵本になったのかは一秒書房のサイトに記録があります。)
ここでは、豆絵本用に分割される前の、一枚の集合イラストを、元の線画と、塗ってもらった状態とを見比べられる状態で掲載してみました。
(絵にマウスポインタを重ねると、拡大します。)
また、豆絵本の試作中に、原画のしょぼさがを取り繕うために、後で加筆したものを再度おかもとさんに塗ってもらったり、岡本さんの意向で没になったりしたものなどもあり、その一部を載せました。集合イラストは加筆前の線画を元に塗ってもらったので、最終的に豆絵本に使われなかった絵が何点かあります。
back